口腔は、一生を通じてとても重要な役割を持つ大事な器官です。難病の患者さんには、口腔リハビリテーションや口腔ケアがとても大切です。口から物を食べていない場合でもこれらは大切です。例えば、筋肉が痩せていく難病を抱えた患者さんは、口を動かすことや噛むことが難しくなっていきます。その結果、唾液の量が減って口腔内の汚れを落とせなくなり、う歯や歯周病になりやすくなります。口腔内の乾燥から炎症もおこしやすくなります。こういったトラブルをできるだけ解消するために、さらさらの唾液の分泌を促す口腔リハビリテーションを行うとよいです。さらさらの唾液は、う歯や歯周病を予防したり、口腔内の炎症を改善させます。頭や顔、首、肩、口の周りをマッサージした後に、専用のブラシ等で舌、頬等の口腔内をマッサージします。さまざまな箇所をほぐして筋肉の働きを助けることで、口周りの機能の維持が期待できます。筋肉のコリを和らげたり、脳が活性化するといったことも期待できます。口腔内をきれいにする口腔ケアは、唾液分泌促進等の口腔機能維持も期待できます。歯や舌、上あご等の清掃をし、汚れは適切なブラシ等でかき出してからふき取ると良いです。難病の患者さんに口腔リハビリテーションや口腔ケアを行う看護師は、呼吸状態や誤嚥に注意し、痛い箇所等がないかコミュニケーションを取りながら安全に行うことが大切です。口唇や口角が傷つかないように、口腔保湿剤を塗布すると良いでしょう。